19: 地獄の3丁目へようこそ(ツインレイ沼)

【我慢大会からの逸脱】

私の我慢大会は、
もう限界にきていた。

抗がん剤、全6クールが完了した。
ひと区切りがついた、そのタイミングだった。

先生に、
どうしてもお礼を伝えたいと思った。

会社の同僚や友人なら、
食事に誘ってご馳走する。
それが、普段の私のやり方だ。

でも、先生を食事に誘うわけにはいかない。

迷惑にならないこと。
困らせないこと。
関係を崩さないこと。

――そう考えた末、
私は、手紙と、名入りのボールペンを渡すことにした。

(ツインレイ界隈の原則に、
一応、則ったつもりだった。)

手紙に書いたのは、
入院中から今までの、感謝の気持ち。

ただ、一行だけ、
どうしても削れなかった言葉がある。

「先生にお会いした時から、
懐かしいような気持ちになることがありました。
初めてお会いしたはずなのに、
以前にも出会っていたような、
心が穏やかになる感覚です。」

それだけ。

これが、
私にできる、
ギリギリの告白だった。

こんな短い数行のことすら、
伝えてはいけないのなら。

――もう、ツインレイなんて、どうでもいい。

そんな心の声に、
私は、初めて従った。

きっと、
その界隈の人が聞いたら、
卒倒するレベルの行為だろう。

先生は、
少し恥ずかしそうに、
「ありがとうございます。恐縮です」
とだけ言って、微笑んだ。

そして、その後からだ。

不思議なことが、
少しずつ、起き始めた。

いわゆる――
「シンクロニシティ」
というやつだ。

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