2:地獄の3丁目へようこそ(混乱期)

【病名告知】
耳鼻科から血液内科にまわされた私は状況を飲み込めず、まるで他人事のようだった。
それもそのはずだ。
アレルギーだと思って行った耳鼻科からわずか3カ月で血液のがんと言われたのだから。

自分の番号が呼ばれ診察室に入ると、穏やかで落ち着いた主治医が座っていた。
挨拶もそこそこに、耳鼻科からのデータを確認している。

「、、、はい。りかこさんは悪性リンパ腫で間違いないですね。」

「あの、、。それはがんってことですか」

「はい。血液のがん、といえばわかりやすいでしょうか。」
その後、パンフレットをみせながら、悪性リンパ腫について説明をしていたがほとんど覚えていない。

ただひとつ、「この先生なら大丈夫」という理由のない確信があった。怖さが全くなかったのだ。あとから思えば、その感覚の方がずっと不自然だった。

普通なら「余命は?」「治るの?」と聞くか泣き崩れるものじゃないだろうか。私は、まるで「風邪ですね」くらいの受け取り方だった。

「何か不安な事とか、聞いておきたいことはありますか?」

「いいえ、大丈夫です。よろしくお願いします」
と頭を下げてその日の診察は終わった。

帰り道にはスマホで先生の名前を検索して「どこで会った?」を探し始めていた。

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