32地獄の3丁目へようこそ(沼から覗く)

【答えのない場所】

占いをやめたからといって、
何かが好転したわけではなかった。

不安は残ったままだったし、
体調も、状況も、関係性も、
目に見えて変わったものは何もない。

ただ、
戻れなくなっていた。

これまで当たり前のようにやっていたことが、
突然できなくなった。

次に何を信じればいいのか。
誰の言葉を読めばいいのか。

それが、わからなくなった。

答えを探す行動そのものが、
宙に浮いた。

手持ち無沙汰だった。

安心の拠りどころを失って、
何をしていいのか、よくわからなかった。

それでも、
新しい答えを探しに行く気にはなれなかった。

しばらくのあいだ、
私は何も決めなかった。

前向きな目標も、
「こうなりたい未来」も、
意識的に考えないようにしていた。

代わりに、
よくわからないことを始めた。

誰に見せるでもない言葉を書いたり、
意味のない時間を過ごしたり、
結論を出さないまま
一日を終わらせたりしていた。

それは日記でもなく、
誰かに伝える文章でもなかった。

説明も、
オチも、
学びもない。

ただ、そのとき浮かんだものを
形にしていただけだった。

今思えば、
それは「考える」のをやめた時間だったのかもしれない。

ずっと、
考え続けなければ不安になると思っていた。

理由をつけて、
意味を見つけて、
納得しなければ進めないと思っていた。

でも実際は、
考えないことで
感情は静かに通り過ぎていった。

安心したわけではない。
救われたとも言えない。

ただ、

答えのない場所に
とどまっていることができた。

それだけだった。

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