【正体を明かせ!】
退院して、解放的な気分でいられたのは、ほんの数日だけだった。
理由はわからない。
でも、胸の奥がずっとザワザワして、気持ちが追いつかない。
……そうか。
先生のことが、気になって仕方ないのか?
寝ても覚めても、とは、まさにこのことだ。
でも、どうしても納得がいかなかった。
そもそも、私のタイプではない。
特別なプライベートな話をしたわけでもない。
知っているのは、名前と診療科だけ。
年齢すら、知らない。
一目惚れじゃない。
恋とも、違う。
欲求不満?
なぜ、気になる?
おかしいだろ?
私は、わりと本気で思った。
「……抗がん剤で、頭がイカれたんじゃないか?」
人の脳というのは、
理由のわからない感情を、とにかく嫌う。
だから、何かしらの名前やラベルを貼りたくなる。
白か黒か。
はっきりさせないと気が済まない。
気がつくと、私はネット検索をしていた。
「医師 患者 恋」
「医師 患者 恋愛」
「医師 患者 気になる」
「抗がん剤 メンタル」
挙げればキリがないほど、検索しまくった。
そして、
最後に叩いたドアが――「占い」だった。
きっと、ここに答えがあるはずだ。
そう信じて疑わなかった。
こうして私は、
王道中の王道、
占いジプシーへと、一直線に堕ちていった
