9: 地獄の3丁目へようこそ(占いジプシー期)

【正体を明かせ!】

退院して、解放的な気分でいられたのは、ほんの数日だけだった。

理由はわからない。
でも、胸の奥がずっとザワザワして、気持ちが追いつかない。

……そうか。
先生のことが、気になって仕方ないのか?

寝ても覚めても、とは、まさにこのことだ。

でも、どうしても納得がいかなかった。

そもそも、私のタイプではない。
特別なプライベートな話をしたわけでもない。
知っているのは、名前と診療科だけ。
年齢すら、知らない。

一目惚れじゃない。
恋とも、違う。
欲求不満?
なぜ、気になる?
おかしいだろ?

私は、わりと本気で思った。

「……抗がん剤で、頭がイカれたんじゃないか?」

人の脳というのは、
理由のわからない感情を、とにかく嫌う。
だから、何かしらの名前やラベルを貼りたくなる。

白か黒か。
はっきりさせないと気が済まない。

気がつくと、私はネット検索をしていた。

「医師 患者 恋」
「医師 患者 恋愛」
「医師 患者 気になる」
「抗がん剤 メンタル」

挙げればキリがないほど、検索しまくった。

そして、
最後に叩いたドアが――「占い」だった。

きっと、ここに答えがあるはずだ。
そう信じて疑わなかった。

こうして私は、
王道中の王道、
占いジプシーへと、一直線に堕ちていった

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