【答えのない場所】
占いをやめたからといって、
何かが好転したわけではなかった。
不安は残ったままだったし、
体調も、状況も、関係性も、
目に見えて変わったものは何もない。
ただ、
戻れなくなっていた。
これまで当たり前のようにやっていたことが、
突然できなくなった。
次に何を信じればいいのか。
誰の言葉を読めばいいのか。
それが、わからなくなった。
答えを探す行動そのものが、
宙に浮いた。
手持ち無沙汰だった。
安心の拠りどころを失って、
何をしていいのか、よくわからなかった。
それでも、
新しい答えを探しに行く気にはなれなかった。
しばらくのあいだ、
私は何も決めなかった。
前向きな目標も、
「こうなりたい未来」も、
意識的に考えないようにしていた。
代わりに、
よくわからないことを始めた。
誰に見せるでもない言葉を書いたり、
意味のない時間を過ごしたり、
結論を出さないまま
一日を終わらせたりしていた。
それは日記でもなく、
誰かに伝える文章でもなかった。
説明も、
オチも、
学びもない。
ただ、そのとき浮かんだものを
形にしていただけだった。
今思えば、
それは「考える」のをやめた時間だったのかもしれない。
ずっと、
考え続けなければ不安になると思っていた。
理由をつけて、
意味を見つけて、
納得しなければ進めないと思っていた。
でも実際は、
考えないことで
感情は静かに通り過ぎていった。
安心したわけではない。
救われたとも言えない。
ただ、
答えのない場所に
とどまっていることができた。
それだけだった。
