26 地獄の3丁目へようこそ(ツインレイ沼)

【なぜ、彼を見ると悲しかったのか】
彼を見ると、なぜか胸が締めつけられた。
嬉しいはずなのに、安心するはずなのに、
会えたあとには、必ず悲しさが残った。
眼差しの奥にある慈しみ、愛情、困惑、はずかしさ……。
彼は何も語らずとも、目がすべてを語っていた。
真っ黒な黒目が印象的で、吸い込まれそうな目。
じっと見つめられると、息が止まりそうになった。
でも、
一番強く受け取ったのは、悲しみだった。
孤独なのか。
言いたいことが言えないのか。
どうしようもない諦めなのか。
そのすべてが、悲しみに見えた。
そのたびに、私の魂が、しくしくと痛んだ。
私が彼の悲しみを背負わなければ。
私が何とかしてあげなければ。
そうやって、
彼の想いをどんどん自分に背負わせ、
私は自分自身を苦しめていった。
その理由が、
当時の私は、まだ分からなかった。

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