17: 地獄の3丁目へようこそ(ツインレイ沼)

【サイレント期間とは結局、何だったのか──タロット乱れ打ち】

早朝に起きて、
「昨夜の彼の想い」を読む。

昼休み、在宅勤務の合間に、
「彼の今の気持ち」を読む。

寝る前には、
「彼と私の未来」を読む。

――タロット乱れ打ち。

占いジプシーからは卒業できたのに、
今度は自分で引けるという理由だけで、
私はタロットカードに依存していった。

無料とはいえ、
そこにあるのは、紛れもない依存だ。

タロットは、
当時の私にとって、
心の安定を保つ、唯一の光だった。

そんなツインレイ生活の裏側で、
治療は淡々と続いていた。

体調がすぐれない日も、
少なくなかった。

診察のたびに、
私は心の中で、ある呪文を唱える。

――患者として徹する。

私と彼のあいだには、
高くて、厚くて、
越えられないし、
越えてはいけない壁がある。

職業倫理という名の、
絶対的な壁だ。

……それなのに、当時の私は、
その障害を
「サイレントだから」
と、ひとまとめにしていた。

サイレントと、職業倫理は、
まったく別のものだ。

その当たり前に気づくには、
当時の私には、
まだ時間が必要だった。

それでも――

こんな状況の中で、
先生に会える、ほんの数分だけが、
私にとって、
唯一、深く呼吸のできる場所だった。

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