【サイレント期間とは結局、何だったのか──タロット乱れ打ち】
早朝に起きて、
「昨夜の彼の想い」を読む。
昼休み、在宅勤務の合間に、
「彼の今の気持ち」を読む。
寝る前には、
「彼と私の未来」を読む。
――タロット乱れ打ち。
占いジプシーからは卒業できたのに、
今度は自分で引けるという理由だけで、
私はタロットカードに依存していった。
無料とはいえ、
そこにあるのは、紛れもない依存だ。
タロットは、
当時の私にとって、
心の安定を保つ、唯一の光だった。
そんなツインレイ生活の裏側で、
治療は淡々と続いていた。
体調がすぐれない日も、
少なくなかった。
診察のたびに、
私は心の中で、ある呪文を唱える。
――患者として徹する。
私と彼のあいだには、
高くて、厚くて、
越えられないし、
越えてはいけない壁がある。
職業倫理という名の、
絶対的な壁だ。
……それなのに、当時の私は、
その障害を
「サイレントだから」
と、ひとまとめにしていた。
サイレントと、職業倫理は、
まったく別のものだ。
その当たり前に気づくには、
当時の私には、
まだ時間が必要だった。
それでも――
こんな状況の中で、
先生に会える、ほんの数分だけが、
私にとって、
唯一、深く呼吸のできる場所だった。
