【占い師Aの場合】
人生で、占いをしてもらったことは一度もなかった。
自分の人生は、自分の手でコントロールしてきた。
そういう自負も、少なからずあった。
でも、今回ばかりは。
私の経験値では、どうにも太刀打ちできなかった。
人生初の占いは、電話占いだった。
初回鑑定3000円分無料!
その謳い文句に惹かれ、サイトにアクセスした。
そもそも、占いにお金を使うこと自体、
私にとっては、かなり高いハードルだった。
片思い、恋愛――
そのカテゴリーで人気の占い師を選んだ。
占い師Aは、人生初の電話占い師さんだ。
どこから話せばいいのかわからず、
私はとりあえず、こう説明した。
「眼差しに見覚えのある人に、
理由もわからず、惹かれてしまって……」
占い師Aは、
「うん、うん……」と相槌を打ち、
「じゃあ、ちょっと視ますね」と言った。
電話の向こうで、霊視をしている……らしかった。
「あ、リカコさん。
彼ね、前世からの、深いご縁のある方よ」
「……ぜ、前世ですか?」
「そう。あなたたちは、前世では結ばれなかったの。
だから今世で、もう一度出会って、
今世こそ一緒に生きようって、決めてきてるのよ」
「???」
何の話だろう。
スピリチュアルとは無縁の人生だった私は、
何を言われているのか、まったく理解できなかった。
「あの……
それって、彼も私と同じように、
既視感とか、感じてるんですか?」
素人な私は、
「彼も同じなら、話をつければ早いんじゃない?」
と、単純に考えたのだ。
占い師Aは言った。
「彼は、まだ気づいてないわね。
でも、これは、あなたたちの“約束”だから」
……どうにも、モヤっとする。
全然、わからない。
ふと、時計が気になった。
課金が、始まっている。
「あ、わかりましたっ!
ありがとうございます!」
何ひとつ理解できていないまま、
私は電話を切った。
人生初の電話占いは、
1000円ほどの課金で、
何も解決しないまま、終わった。
――誰か、ほかの人なら、
答えをくれるんじゃないだろうか。
そう思った時には、すでに私は、
別の占いサイトを、漁り始めていた。
