10: 地獄の3丁目へようこそ(占いジプシー)

【占い師Aの場合】

人生で、占いをしてもらったことは一度もなかった。

自分の人生は、自分の手でコントロールしてきた。
そういう自負も、少なからずあった。

でも、今回ばかりは。
私の経験値では、どうにも太刀打ちできなかった。

人生初の占いは、電話占いだった。
初回鑑定3000円分無料!
その謳い文句に惹かれ、サイトにアクセスした。

そもそも、占いにお金を使うこと自体、
私にとっては、かなり高いハードルだった。

片思い、恋愛――
そのカテゴリーで人気の占い師を選んだ。

占い師Aは、人生初の電話占い師さんだ。

どこから話せばいいのかわからず、
私はとりあえず、こう説明した。

「眼差しに見覚えのある人に、
理由もわからず、惹かれてしまって……」

占い師Aは、
「うん、うん……」と相槌を打ち、
「じゃあ、ちょっと視ますね」と言った。

電話の向こうで、霊視をしている……らしかった。

「あ、リカコさん。
彼ね、前世からの、深いご縁のある方よ」

「……ぜ、前世ですか?」

「そう。あなたたちは、前世では結ばれなかったの。
だから今世で、もう一度出会って、
今世こそ一緒に生きようって、決めてきてるのよ」

「???」

何の話だろう。

スピリチュアルとは無縁の人生だった私は、
何を言われているのか、まったく理解できなかった。

「あの……
それって、彼も私と同じように、
既視感とか、感じてるんですか?」

素人な私は、
「彼も同じなら、話をつければ早いんじゃない?」
と、単純に考えたのだ。

占い師Aは言った。

「彼は、まだ気づいてないわね。
でも、これは、あなたたちの“約束”だから」

……どうにも、モヤっとする。
全然、わからない。

ふと、時計が気になった。
課金が、始まっている。

「あ、わかりましたっ!
ありがとうございます!」

何ひとつ理解できていないまま、
私は電話を切った。

人生初の電話占いは、
1000円ほどの課金で、
何も解決しないまま、終わった。

――誰か、ほかの人なら、
答えをくれるんじゃないだろうか。

そう思った時には、すでに私は、
別の占いサイトを、漁り始めていた。

タイトルとURLをコピーしました